長い廊下を歩いていくと、木の見える大きなガラス窓に突き当たりました。長いといっても何百メートルもあるわけではありませんが、エントランスの中庭で五感が冴えてしまった上に、とにかく空間の密度が濃くて、部屋にたどり着くまでにヘトヘトになりました。(いい意味で)
その突き当たりの右側にあるドアが我々の泊まる部屋の入口のようです。(写真)
厚いドアを開けてもらい中に入ると、意外と明るくてモダンな空間が出現しました。天井はとても高く、壁は白い漆喰で、家具や壁の木部は床と同じような明るい木の色。タクシーを降りてからここまで、ずっと凛とした空気が漂っていましたが、客室はちょっと家っぽい雰囲気で息が抜けそう。
この部屋は角部屋のようで、大きな窓(W1300 H2700)が2面についていて、日光がふんだんに差し込んできます。窓のディテールは入口のガラスドアとほぼ同じで繊細。雑に扱うと壊れそうなので、そーっと窓を開けると、冷たい山の空気がさーっと入ってきていい気持ち。窓枠は外壁と同じビシャン仕上げの石で、その上枠を見ると、なんとそこには電動ロールブラインドが仕込まれていました。(写真)
ベッドは真っ白にメイクされていて清潔感があり、マットレスも程よい固さでいい感じ。元修道院ということで、せんべい布団で神に祈りながら寝る覚悟もしていましたが、これはかなり上質です。(ストイックに徹した修道僧体験ルームがあっても面白いけど)
白い壁には一部に絵画のようなものがあり、「↑ Mini Bar」みたいなことが書いてあったので動かしてみると、壁の中から冷えたスパークリングワインが入った冷蔵庫が出てきました。壁が分厚いので冷蔵庫くらいは入ってしまうのでしょうが、ヒントがないとチェックアウトまで気付かなかったかも。
その下には壁から片持ちで出されたシンプルな木のデスクがあり、側面から引出しが出てくる変わった収まり。テーブルと引出しの「取合い」が「留め」(合わせ目が斜め45度)になっているので、閉めると引出しの存在もわかりません。(こちらはあらかじめ少し開いているというヒントがあった)
そして、部屋の中に大きな木の箱があります。
なんだろう?と思ってよく見ると、箱の表面と同面に収まった鏡の横にツマミみたいなのがあったので回してみました。すると壁が開いて、中にはトイレやお風呂、洗面台が。。。これは天井の高い空間に置いた「ユニットバス」でしたが、凹凸や線を徹底的に消しているので、最初バスルームだということも入口があるということも気付きませんでした。
ホテルの客室というと、バスルームと寝室が一体化したような印象があり、それはそれで便利なのですが、常にお風呂やトイレ、洗面台の存在が意識の中に入ってくるものです。でも、ここの場合は水回りが同じ空間にあるのに、印象の中にその存在がないので、とても空間が静かだし、面白いことに今でも記憶の中では別個の空間として認識しているようです。
部屋にパズルが置いてあるホテルはたまにありますが、ここは部屋がパズルのようです。
次回は木の箱(バスルーム)の内部に入ってみたいと思います。