「横手館」本館の部屋には、トイレと洗面所がありません。
トイレは部屋の粋な玄関から廊下に出てすぐの所にあります。
廊下に面した入口は斜めに振ってあり、壁には渋いサインがついています。このように入口が斜めだと入口付近にちょっとした空間が出来るし、入った時も四角い部屋を斜めに見ることになり空間に変化が出来るし、対角線に近く長い視界が得られ広がりも感じられるので、結構有効なワザだと思います。(そうやって変化をつけている小さなスナックを目にしたりしますね)
ドアを開けて中を見ると、大正時代のままではなく、新しくリフォームされています。
床は赤御影石かな。御影石(みかげ石・花崗岩)は水に強いので、トイレには向いている材料でしょうね。でも、若干の吸水性があるので、尿などがしみ込まないように撥水処理はしておいた方がいいと思います。
壁は胸の高さまで木が張られていて、その上は障子。そして斜めの洗面カウンターに、小便器と大便器がゆったりと配置。旅館に合うように和の雰囲気もある落ち着いた仕上がりです。
当日、4階には2組しか泊まっていませんでしたが、これだけあれば広さは十分だと思いました。
そして、洗面所も部屋を出てすぐのところ。
タオルやアメニティもしっかり置いてあるし、何より工場の型で造られた洗面ユニットではなく、大工さんが心を込めてつくった洗面所で顔を洗えるのがいいですね。
階段室に囲まれているので、高さの変化も楽しめます。
では、夕食の時間になったので、あみだくじのように階段を降りて1階へ行きます。
食事は部屋出しと食事処が選べるようですが、たぶん4階だと配膳が大変なので、食事処へ行くことになるのでしょう。
食事処はバーラウンジ的な場所と共に新しくリニューアルされています。床はナラの無垢材にオイルステインですかね。薄いウレタンでプラスチックのようにコーティングしていないので、空気感がシットリしているし、変にバリバリ剥がれることもなく、年を経るごとにアジワイも増し、大正時代の建物とも馴染んでくることでしょう。そこに、ちょっと和風の家具がゆったりレイアウトされています。個室ではないため、他の客の存在が気になり、寛ぐわけにはいきませんが、雰囲気はいい感じです。
そして席に着くと、仲居さんが趣向を凝らした美味しい料理を次々と運んできてくれます。
部屋のベッドルームに続いてサニタリールームがあるのがホテルのいいところですが、反面、トイレやお風呂、洗面所の存在感が気になってしまうもの。
ここの場合、食事は食事処、お風呂は浴場まで行くのはもちろん、トイレや洗面も部屋の外に行かなければならず、ある意味不便ですが、かわりに部屋の中は静かで落ち着いています。そして、食事やお風呂、トイレや洗面所に行く道中の空間の変化も楽しめ、印象に残るので、これはこれでいいものだなぁと思いました。